出張したとき、飛行機の中で一気に読みました、
「天動説」と「地動説」を巡る、歴史ファンタジー作品。
かつて「天動説」が信じられていた時代、実際の歴史では「地動説」を唱えることはタブーではなかったようですが、「もし、地動説がタブーだったら」という世界を描いた歴史ミステリーとなっています。
「チ。」という変わったタイトルだけど、大地のチ、血のチ、知識のチ、のトリプルミーニングです。
この作品がアツいのは、「コペルニクス的転回」と「知への探究」がいい感じに描かれているところかなと思いました。
世界で信じられていた価値観が根本から一変することを、地動説を唱えたコペルニクスにちなんで「コペルニクス的転回」って言いますよね。このコペルニクス的転回的な「えっ…じゃあ、今まで信じていたものは…」という感じが、物語のいろんなところ落とし込まれていて面白いです。
今まで信じていたもが壊れることで、利権を失って失墜する人もいれば、縛られていたものから開放される人もいる。ゲームチェンジとも言いかえられるけど、そりゃ面白い話になる訳だ。
そして、知を求める精神は、どれだけ武力で押さえつけても、どれだけ宗教で禁忌にしたとしても、決して抑えることができないものとして描かれているものアツい!人は本能的に本当のことが知りたいから、いつか誰かが真実に辿り着いてしまう。
今の時代、社会の価値観が一変するようなゲームチェンジもないし、全く未知のものに思いを馳せることって少ないよね。どちらも現代へのないものねだり的なところもあり、楽しめたのかなと思った次第です。