加入している土木学会誌のレビューです。
11月も中頃ですが、今更10月号の話です。
10月号のテーマ「カーボンニュートラルと土木」
「カーボンニュートラル」
最近、聞く事が増えてきたキーワードです。
その意味は「温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること」。
この「排出量と吸収量を均衡」は、CO2をはじめとする温室効果ガスの人為的な排出量から、植林・森林管理などによる吸収量を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。
つまり、このカーボンニュートラルの達成には、
・温室効果ガスの排出量の削減
・吸収作用の保全&強化
が必要となります。
そして、なぜカーボンニュートラルを目指すのか。
それは、今の世の中の状況が続くと、更なる気温上昇が予測されているから。つまり、気候危機を回避するために、早めに取り組むこととなります。
さて、ようやく土木についての話です。
土木でカーボンニュートラルを目指すためには、
・CO2が出にくいものを作る
・CO2が出ない様に使う
が必要になります。
ですが土木は、作るモノが巨大で、一度作ったモノはかなり長く使います。
「CO2が出ない様に使う」のはもちろん必要なのですが、モノが変わっていないのにCO2をガッツリ減らせる訳はなく、努力できる範囲が限られているんですよね。
もちろん、まだ使えるのに「CO2を出さないモノに作り替えよう」とはなりません。もったいないし。
読んでいた感想としては、このままではとてもじゃないけど、2050年までにカーボンニュートラルを達成するのはとてもじゃないけど間に合わなさそうだ…というものでした。
この「CO2を出さない様に」という環境配慮は、言ってしまえば「縛り」なんですよね。
配慮しなくても今の社会活動を行えます。ですが、未来を考えると今やっておいた方が良い。今、縛りを課すことで未来に繋げるという話なんですね。この環境配慮の縛りは、いざ仕事を進める時には、
・作る時に、いつもより大きな場所が必要になる
・関係者が増える
等の、具体的な「縛り」置き換わってきます。
この具体的な「縛り」をクリアするために、知恵と工夫が必要になってきます。お金で解決できるなら簡単なもので、難しい解決方法としては
・理解してもらう
・続けてもらう
なんかがあります。
どちらも、他人に自分事として協力してもらう必要があります。
とすると「環境なんて知らないよ、それより僕が困るんだよ」という声を「それなら協力するよ」に置き換えられるインセンティブの設計に落ち着く事になるのかなと思いました。
「縛り」や「制約と誓約」を課したものは、
通常以上の効果を得ることが出来るのは能力の常。
協力してくれる人を増やし、協力できない人にはアメを用意し、そうして達成しなければ、より良い未来が残せない。なかなかハードモードですね。