キュウソネコカミは、枯れたのかと思っていました。
3作目のアルバム「人生はまだまだ続く」が個人的には微妙だったし、その後そんなに曲も出さないし、まじめな歌も目立ち始めていたし。
本人たちが「ビビった」の中で自ら歌っていた
メジャーに行って1、2年で消えるバンド多過ぎクソワロタ
という言葉のブーメランが、冬の寒空できれいに弧を描いて、今にも後頭部にぶつかりそうだと思っていました。
けれど、昨年末に出た「にゅ~うぇいぶ」はいかにもキュウソな曲が多くて、
「これでいいのよ!かっこつけずに、この感じでいいのよ!」
と強く感じたのです。
僕がこう思うことを見越してか、アルバムの冒頭曲「5RATS」では
勝ち組に生まれたわけではないから努力は必要さ
動き続けないと怖い将来への不安が
流行り廃りの波に飲まれないようにたまに壊して
クールな音楽もやりたい
でもわかりやすいものばかりが好まれる
と歌われていて、
「色々やってみたけど、あえて戻ってきたんだよっ!!」
という、強がりか、本当にそうなのか、“らしさ返り”の自覚が読み取れたのです。
ニューアルバムの中では「メンヘラちゃん」が特に耳に残ります。
彼らの原点でもある「サブカル女子」と同じ系譜で、原点回帰のお家芸。
この歌はお前の事ではないから安心して眠れ
というフレーズは、「メタ的」「あ~あ言っちゃった」というキュウソらしさを凝縮した結晶体です。
らしさがあって、それが世にウケるやり方ってのはスゴイ。
本人たちはそこに甘んじないようにしているかもしれないけど、僕はこの調子であらゆるキャラあるあるを歌ってほしい、武器を磨き続けてほしいのです。