4月は面白い作品をいくつか見ましたが、一番衝撃だったのは本書「絶望の国の幸福な若者たち」です。
社会学者 古市憲寿氏による、現代若者を紐解いた作品です。
今の若者は、将来不安だけれど、幸せだと感じているといいます。それは「日本はこの先成長していかないけど、周りと楽しく過ごせている今この瞬間は幸せだ」という考えらしい。
じゃあ、 自分のことだけで世の中には興味がないかというと そうではない様です。ボランティアや、社会貢献の意識や活動者は増えているといいます。
その代表として、 復興ボランティアに押し寄せる若者や、サッカーで「日本!」と団結する若者の姿を上げています。現状が満ち足りてパーソナルな世界になっているからこそ、非日常や団結するきっかけを求めているのでしょう。
なるほど、確かに。
渋谷に集まるサポーターは、試合で負けても「あー残念」で終わります。本当に勝つために応援しているんじゃなく、みんなと同じ理由で騒げればいいのかもしれません。
また、 日本が無くなって問題ないとも言います。もちろん今の様な暮らしが続き、 日本的な文化は保存される前提だが、「日本」という固有の器には、こだわる必要はいないんじゃないかという考えです。
自分の生活基盤が激変するようでなければ、国が傾いたとしても若者は立ち上がらないと言います。
幕末の人斬り役を演じる俳優 佐藤健さんのインタビューも出てきます。彼は「幕末には生まれたくない、 休日はBBQしたいから現代に生きたい」と言います。
成熟し、成長しない世界では、個人がそれぞれ自分らしい幸せを探しながら、無理のない範囲で世の中とも繋がろうと非日常を探している。
本作のAMAZONレビューでは評価は真っ2つでした。どうやら「分かる」という若者と「そんな事ない」という年配のよう見受けられます。
僕は、 本作の主張を「分かる」と感じました。