あるブログ

府中在住のサラリーマンによる、日々の記録。子育て(兄と妹)/ご当地ソング/マンガ/ラジオ などのお話。記事に合わせて一曲選曲します。

コンビニ人間

2016年の芥川賞になっていた「コンビニ人間」を読みました。
小説、久々。

 

主人公は、18歳の頃から同じコンビニで18年バイトし続けて、ライフスタイルや人格をそのコンビニで働くことに特化させてきたかのような女性。
長年、淡々と働き続けてきたけど、30半ばを過ぎた妙齢になり、世間から色々言われる事をわずらわしくなり本人にも変化が……といった話。

主人公の世間ズレがとんでもないのですが、ズレた側の視点で描かれているので、僕らが生きている世界がどこか怖い世界として映っています。世にも奇妙な物語とか、笑うセールスマンを見ているかのような、全体的に薄気味悪いです。

 

以下で少しネタバレ。

ハイライトは「周りに溶け込んでうまくやっている」と思っていた主人公が、「あなた周りから避けられていますよ」と指摘されるところ。思っていた世界と、実際の世界がずれていて、自分だけピエロだったとハッと気づく、小説ならではのどんでん返しを楽しめます。

そして、オチの「これからもコンビニで働く」という選択について、クチコミだと賛否両論ぽかったけど、僕は救いがあったように感じました。「何も変われなかった」というバッドエンドのようでもありつつ、変われないことは薄々分かっていたので、取りうるベターな選択をしたという事で。まぁ良かったのかなと思ったわけで。
 

コンビニという誰もがイメージできる世界の、誰も共感できなさそうな人の物語。
不思議な読後感でしたね。

 

遠ざかっていたけど小説はいいね。
一連の話として完成されているし、想像の猶予・解釈のしろがあるし、唯一無二のエンタメだよね。

コンビニ人間

コンビニ人間