天才になれなかったすべての人へ———
今年読んだ中で、最も衝撃的なマンガでした。
絵はあれかもしれないけど、これはおもしろい。
一気に最新話まで読みました。数年以内に絶対実写化するって!
舞台は2000年台前半から今につながる広告・アート業界。
自らの凡才に気づきながら何者かになろうとあがく広告代理店勤務の朝倉と、
圧倒的才能で周りを取り残しながら進む芸術家エレン。
2人を中心にした群像劇です
めっさ現実感のある登場人物と、それらの複雑に交差する人生。
夢と仕事と生き様に、たくさんの熱い言葉があふれています。
ぐうの音も出ない内容です。絵はあれだけど。
広告業界おしごともの!
まず、見知らぬ業界を知れるのがまず面白いですね!
広告代理店に、製作会社やクライアント。
こんな部署があります、仕事はこうしてます、独立する人もいます。
美大出身と専門卒でも扱いが違います、とかとか。
役職ごとにそれにはまったキャラが出てくるので、自然に理解が深まっていきます。
天才と凡才
スポーツ物では鉄板のこのテーマ。
- 凡才は、天才にどう立ち向かえばいいのか。
- 努力をしても届かないと知った時、ずっと描いた夢が叶わないと気づいた時、人はどうすればいいのか。
それをとても丁寧に描きます。
夢がかなわなくても人生は続く。
その折り合いをつけ方、挑み方も人によって違います。
なかなか見ていられない痛々しい展開の中でも、作品全体に希望が溢れている様に感じるのは、もがきながら支え合っている登場人物達と、作品中のエレンの存在が大きいですね。世界のどこかにいる天才的な旧友と、いつか肩を並べてみたいから。
物語の描き方
時系列が行ったり来たりしながらストーリーが進むので、読み進めるほど、以前のシーンが重厚になっていきます。あれはそうだったのねと!
社会人の話で始まったと思ったら高校時代が始まり、その後社会人にいったん戻りつつ、大学編に行ったり。
過去と現在の2点をいったり来たりはたまに見るけど、ここまで色んな時期に飛ぶ展開は初めて見ました。
あと、2000年以降のメディア業界の動きをストーリーに組み込んでいるのもなんか熱いですね。出てくる大学名もそのまま使っていたりと、現実のワードが出てくるとテンションが上がります。
- 最近登場したYou tubeを使おう
→ インターネットでわざわざ動画なんてみんな見るかね?流行らなくね? - 広告と悟られずに広告しよう
→ それはステルスマーケティングという業界の禁じ手だ! - 全部自分で編集している新海誠ってすごいアニメ監督がいる
→ 彼が革命を起こすのはチームを持ってからだ
その他にも、しゃれてとんちを効かせた言葉もいっぱいあるんですよ!好きなのは
「はじまったら、はじまった時わかるよ」
各キャラの「人生がはじまった瞬間」が何となくわかり、そこもいいです。
いや~~!! 是非お試しを。