お前らは先に行け!

30代関東リーマンの、日々の暮らしや体験記。

砂漠

爽やかに読み心地ながら、そこかしこにこっそり複線をばら撒いて、最後にその全てを結びつける。あれもこれも、この瞬間のためだったのかとため息をつきながら震えるクライマックス。この感覚を味わいたくて、新しい作品が出るといつも買って読んでしまう。

伊坂幸太郎

 

著者は仙台を拠点にしている事から、仙台が舞台の作品ばっかり。仙台好きの私は一層その世界にのめり込みます。

さて、私が一番お勧めしたいのはこれ。「砂漠」。

砂漠 (Jノベル・コレクション)

砂漠 (Jノベル・コレクション)

 

 

大学生の日常を中心にすえた作品で、仙台で遊ぶために大学生になったような僕は、思い出話を聞くかのようにのめり込みました。春夏秋冬巡る季節と共に、ぱっと見ゆるく繰り返される日常が、実はしんしんと積み重なっていて、気づけばどれもこれも大切な物に。

18歳の当時の僕にとって「これから6年過ごす」というのは、恐ろしく長い道のりに見えて、 無下に過ごした時間が一杯あったように思えるけれど、それも含めて、全部大切な思い出になっています。

大学時代を思い出す時は、どうも美化しすぎてしまう傾向があるけれど、この作品を読んで郷愁に浸った読者の気持ちを見透かすように、著書の最後で、大学の学長はこう言い放ちます。

 

「学生時代を思い出して、懐かしがるのは構わないが、あの時は良かったな、オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対に考えるな。そういう人生は送るなよ」

 

日々、ピークである人生を。